設計2023年3月26日
皆さんは家庭内での不慮の事故について、考えたことはありますか?
家庭内での事故の中で、死亡事故につながるレベルの事故として一番多いのは、「不慮の溺死及び溺水」で、家庭内事故の約4割を占めているようです。(参照:公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ)
入浴中の死亡数は、その他の時期と比べ、気温が下がる冬場に何倍にもなっています。
冬場の入浴事故には、「温度差」が引き起こすヒートショックの影響が大きい、と推測することができるようです。
今回はヒートショックについて、改めて確認していきましょう。
ヒートショックとは、温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することによって、失神や心筋梗塞、脳卒中といった血管の病気などを引き起こす、健康被害のことです。典型的な例としては、入浴時にお風呂の温度と、浴室や脱衣所の室温が大きく異なることから引き起こされます。
入浴中にヒートショックを起こすと、浴槽内で意識を失うおそれがあり、最悪の場合には溺死してしまう可能性もあります。
ヒートショックによる事故のピークは1月ですが、11月~4月の冷える季節に発生件数が増えます。暖かくなり始めた時期も、油断は禁物です。
令和3年度の居住施設の、浴槽内での溺死及び溺水の死亡者数は約4,750人で、同年の交通事故死亡者数の約2,150人の約2倍となっています。
特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、超高齢社会に突入した日本にとって、早めの対策が重要になっています。
今日からでもできる簡単な対策を、4つ紹介します。
お湯を沸かす時に暖房設備などを使い、脱衣所や浴室内を暖めておきましょう。
浴室に暖房設備がない場合は、シャワーを活用した浴槽へのお湯はりが効果的です。高い位置に設置したシャワーから浴槽へお湯をはることで浴室全体を暖めることができます。
温度計やタイマーなどを活用し、湯温や部屋の温度、入浴時間など、普段忘れがちな部分を「見える化」することで、意識しやすくなります。
浴槽から急に立ち上がる際には、まず浴槽のふちに座り、少しずつ体を慣らしてから立ち上がりましょう。急激な動作はめまいや立ちくらみを引き起こす可能性があります。
食後は体内の血液が消化器官に集中します。この状態で温かいお湯につかると、血管が拡張し、一時的に血液が皮膚に集まることになります。体内の血液の循環が大きくなり、血圧が一時的に上昇する可能性があるのです。この状態でお風呂に入ると、ヒートショックのリスクが高まる可能性があります。
また、アルコールを窃取すると、体温があがります。この状態で入浴すると、さらに急激に体温が上昇するため、ヒートショックのリスクが高まります。脱水症状の危険もあります。
特定の薬物は体温調節に影響を与えることがあります。お薬の説明書をよく読み、お医者さんと相談して、入浴のタイミングに注意しましょう。
ヒートショックがよく起きるのは浴室です。
お家を建てるときは、下記のようなポイントに注意すると、ヒートショックを未然に防ぐことができます。ご高齢の方や、お子様がいるご家庭は、特に注意してみると、快適なお家に近づきます。
浴室暖房機は、事前に浴室内を温めることができます。タイマー機能を備えた機器を導入すると、入浴の少し前から浴室を温めておくことができます。
断熱材や遮熱性の高い窓、カーテンを利用することで、外部の気温変化から浴室を守ることができます。湿気がこもりやすくなる場合がありますので、換気システムも併せて充実させることをお勧めします。
換気システムは室内と外気の空気を入れ替えることができますが、湿気だけでなく不要な熱も排出してくれます。カビ対策などにもなりますので、必須のシステムと言えます。
ヒートショックのリスクを確認できるツールがあります。
日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」内では、ヒートショックのリスクの目安をチェックできる、「ヒートショック予報」を発信しています。
気象予測情報に基づいた予報で、タイムリーに、ピンポイントに地域ごとの予報を確認できます。是非、その日の気温やリスクに合わせた対策に活用してみてくださいね。