2021年4月7日
家づくりを進める時に、必ず意識してもらいたいのが「耐震性能」 です。
言わずもなが、日本は地震大国です。
今後、30年以内に、M8.0の東海地震が88パーセント、M8.1の東南海地震が70パーセント、M8.4の南海地震が60パーセントという高い確率で発生すると専門家は指摘しています。
これから家づくりを行う方は、「大きな地震がくる」ということを前提において家を検討していかなければなりません。
そして、最も大切なことは、耐震性能だけは「家を建てたあとでは用意に変えることができない」ものなのです。
耐震性能が高いか低いかは、家を建てる前の地盤や基礎づくりに関わってきます。
家の一番始めに作る箇所が耐震性能と密接に関わってくるのです。
住宅会社を検討していく時、つまり家づくりを始める前に考えていないと、いざスタートしてからでは遅いのです。
一般住宅にも法律上の耐震性能について求められる基準が定められております。
「耐震等級」と呼ばれるものです。
耐震等級は、地震に対する建物の強度を示す指標とされています。
建物の耐震性能によってランクが3段階に分かれており、その数字が大きければ大きいほど、建物の耐震性能が高いことを表します。
地震に対する構造躯体の倒壊・崩壊等のしにくさを表示したものです。
「耐震等級1」は、建築基準法で定められた、建物に備わっているべき最低限の耐震性能を満たしていることを示すものです。
震度6強から7に相当する大地震に耐えうる強度を持つように構造計算されています。
耐震等級1であれば、震度5程度の、数十年に一度の頻度で発生する地震に際しては、建物の損傷防止に効果があるとされています。
ただし、実際に生じた地震の性質によって震度も変わってくるため、あくまでひとつの目安として考えるべきです。
耐震等級2は、上で示した耐震等級1の1.25倍の倍率の耐震強度があることを示しています。
「長期優良住宅」として認定されるには、耐震等級2以上の強度を持たねばなりません。
災害時の避難場所として指定される学校や病院・警察などの公共施設は、必ず耐震等級2以上の強度を持つことが定められています。
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示しています。
住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高いレベルであり、災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署などは、その多くが耐震等級3で建設されています。
耐震等級を見ると「耐震等級3」は、1度の地震では倒壊しないレベルの建物であると考えられます。
実際に、一般住宅でも耐震等級2や3の基準を持った住宅は増えており、木造住宅でも地震に強い家は出てきています。
ただし、この耐震等級には落とし穴があります。
法律で定められている基準は、「1回の地震」に対して耐えられる強度であればクリアでき、複数回の地震は想定されておりません。
2011年に発生した東日本大震災。
10年以上たった今でも余波と思われる地震が発生しており、時には震度5や6といった強い地震も観測されています。
耐震等級が高いからといって、それだけで地震に強い家だと安心することはできないのです。
基礎の工事にはコンクリートを用いますが、コンクリートには「圧縮にはともて強いものの、引っ張りに弱い」という特徴があります。
地震などで、下から突き上げの力が働くと上部に強いストレスがかかって割れてしまいます。
そのようなコンクリートのデメリットを解消するために鉄筋を入れますが、1本の鉄筋だけではカバーしきれません。
そこで、地震に強い家かどうかを見極める時に、鉄筋の入り方をチェックします。
基礎が強いのは、鉄筋が2本入っている「ダブル鉄筋」と呼ばれる工法です。
ダブル鉄筋で建てられている建物で有名なものは、ガソリンスタンドです。
ガソリンスタンドが地震に強いことは有名で、阪神大震災の時も、東日本大震災の時も、倒壊したガソリンスタンドは、ほとんどありませんでした。
ベタ基礎は、 一枚の大きなコンクリートの板の上に建物が載ることで、 地盤に対し家自体の荷重を均等にかけることができます。 そのため、不同沈下の心配も少なくなります。
家の外壁も耐震性能に影響を与えます。
下記の図をご覧ください。
一般的な筋交い工法の場合、外からの大きな力が加わった場合、ねじれが発生します。
これが、ねじれの力が基礎を痛めたり、建物の倒壊に繋がる危険を与えます。
それを防ぐためには、外壁を「面」で支えるようにすれば解消できます。
この工法を「木造軸組みパネル工法」と呼びます。
外壁の重さや弾性も耐震性能に影響を与えます。
低コスト住宅でよく使われる「金属サイディング」ですが、これは地震に強いか弱いかという点で見ると、地震に弱い素材です。
その理由は重さ。
重量のあるサイディングは、地震発生時に家に負荷をかけ外壁のひび割れを引き起こします。
地震に強い家を建てるために必要な耐震等級についての基礎知識についてまとめていきました。
耐震等級についてや工法についての知識をつけて、家づくりを進める時の参考にしてくださいね。
何度も言いますが、耐震性能に関しては家を建ててからでは変えることができません。
かつ、今後、高い確率で大きな地震が発生することが予測されています。
コストとのバランスも必要になりますが、万が一の災害にも命を守れる家に住むために、ある程度予算をかけても良い場所です。
家づくりを進める住宅会社さんにも相談をしながら、考えてみてください。